惰性により風呂にはいりそびれ、母親のさげすむような視線に耐えかねて日が高くなったころに目覚めたわたくし。
のろのろと支度をしてシャワーあびようと思ったとき、LINEで数少ない大学時代の男友達よりメッセが。
「前話した、好きだったけど振られたっぽいゼミの後輩含めて数人で高尾山登ることになった」
「女の子目線から、あしたどういう風に接すればいいかアドバイスがほしい」
よしよし、やさしい私は相談にのってあげることにした。
男友達(Tとする)は、浮いた噂があんまりない男子で、大学2年に初めての彼女と別れて以来さっぱり(のはず)である。
就職先も一流企業だし背も高いしオタクでもない。だが最近髪の毛が後退ぎみなことが彼の悩みである。
さて、互いの時間があった夜10時ごろに電話がかかってきて、ことの顛末を詳しく聞く。
どうやら、夏ごろからいいな、と徐徐にテンションが上がってきていたゼミの後輩の女の子(まだ学生)と、頻繁なメールのやりとりを行うところまで進展したものの、3回ご飯にさそって3回とも挫折したために気持ちが急降下し、1か月以上互いに音信不通状態にした後の急なイベントだったらしい。何も知らない後輩男子が山登りの人数を集めてくれたところ、彼女がいてびっくりし、あせって相談してきたそうだ。
先日筆者の残念な失恋のおりに慰めてくれた借りもあり、なけなしの女子の意見を結集させてアドバイスしてきたのだが、
強い父上と3歩下がって従うやさしい母上がおられる実家で育った彼には、どうも女の子にやさしくする、気づかいすることに対する「男としての負け」感がそこここに感じられ、たまにひねたもののとらえ方をする。
T「女の子ってどんなペースで山登れるのかな」
私「そもそも明日高尾山雨かもよ。登るペースは男の子よりゆっくりだし、滑ったら女の子かわいそうだし、ちゃんと見守ったり手助けして、がんばらなきゃ!」
T「いや、俺そういうのキャラじゃないじゃん。S(後輩男子)がやるよ」
おいT!なぜそうなる!
「なんとも思ってない女の子が自分を気づかってくれたら嬉しいときあるでしょーが!!むしろなんとも思ってなくてもそのぐらいの女子への気づかい常日頃からするくらいじゃなきゃ!!!ましてや良いと思ってる子でしょう!!!なんでSくんがやらなきゃいかんのさ!!!!!!」
ここぞとばかりに女子としての意見をぶつけてみた。
これは彼にとっては新しい視点だったようである。
アグレッシブだが不思議な頑固さがあるTは、
「この電話で物事が整理されていくつかの気付きを得た。たすかったわ^^」
と自己啓発セミナーに出席した感想のような感想を述べて電話を切っていったのだった。
T君の幸運を願うばかりである。
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